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第一回へは、こちらからどうぞ。 You can read the 1st episode from this URL. http://t-genji546.at.webry.info/200901/article_1.html まったく常と変わらぬ足取りで、源三郎は歩いて来る。 「叔父上」 ようやく恐怖に震える声を絞り出した。 とんでもない肝試しになってしまったものである。 すぐ横で二人も殺され、血を浴びせられて、泰助自身も捕まって、今や血が滴る刀を突きつけられていた。 「おい、手下どもに刀を引かせろ。でないと、このガキ、殺すぞ」 源三郎が腰の物を引き抜くのが見えた。 「聞こえんのか」 立ち止まった源三郎は半身のように見える、天然理心流、平星眼の構えになっていたが、奇妙に感じることがあった。 源三郎の後方では、まだ剣戟が続いていたが、微かな光を反射する銀色の刃や、それがぶつかり合う火花も見えていた。 そんな光が、源三郎からは見えて来ない。 決して無手ではない。腰から抜くのが見えていたのだが。 「本当に殺すぞ」 ちくちくと切っ先が、泰助の頬を突つく。 「叔父上」 呼び掛ける声は小さく、震えも大きくなっていった。 心臓の鼓動が凄まじく速くなり、咽喉がひりひりと渇く。 辺りの闇以上に、泰助の心は暗く沈み込む。 『すぐに助けてやる』とか『言う通りにするから、甥を助けてくれ』とかいう言葉を予期していたのだが、源三郎の口から出たのは、まったく違っていた。 「泰助、そなたはもう一人前だと言ったな。一人前の武士ならば、覚悟を定めよ」 脅しにまったく動じない。源三郎の反応に驚いたのは、泰助だけではなかった。 背後の浪人が誰よりも驚いていた。そこに微かな虚が生まれた。 とても形容出来ないような凄まじい気合の声が迸り、源三郎の手から一直線に伸びた切っ先が激しく浪人の咽喉を突いた。 またもや血を被る。そう思って、泰助は目をぎゅっと閉じたが、そんなことは起こらなかった。 ただ、浪人は泰助共々、後ろへ倒れて動かなくなった。 倒れても尚、首に巻き付いたままの腕から逃れて、泰助は叔父の姿を見上げた。 源三郎は目にも止まらぬ突きを放ったのだったが、刀には鞘を被せたままだった。 「叔父上」 源三郎の対応には不満があった。 脅しにまったく動じずに攻撃してきた。しかし、抜刀すらしていなかった。 助けてもらったのだから、文句を言う訳にはいかないのだが、腑に落ちなかった。 「ああ、また鞘の塗りが剥げておる」 そんなことを言うのもまた、奇妙に感じられて仕方がなかった。 後日、改めてそのことを問い質すと、源三郎は苦笑交じりに呟いた。 「儂は極力、人を斬らないようにしておる」 人斬り集団として恐れられている新選組の組長とは思えない、驚き入った答えだった。 今まで、近藤や土方にも、刀を抜くようにと源三郎は何度も言われていたらしいのだが、頑として自分の信念を曲げないということだった。 聞けば、源三郎が人を斬ったのは、池田屋騒動の時だけだという。 「おかしな話に聞こえるかもしれぬが、儂は身に付けた剣術を人殺しのために使いたくはない」 泰助は確かに奇妙な者を見るように目と口をぽかんと開けてしまった。 剣術というものは突き詰めれば、如何に人を斬るかを習い覚えるものではないのか。 「やたらに人は斬らぬ。それが儂の士道。武という文字は戈を止めるが語源ぞ。争いを止めるために戦う。そう心得ておる」 優しく諭されるような口調だったが、それでも少年の泰助には理解するのが難しかった。 甥の心を感じ取ったのだろう。源三郎は小さな目の周りを皺だらけにして笑い、泰助の頭を撫でた。 「いずれ、わかる時が来る」 第五回へは、こちらからどうぞ。 You can read the 5th episode from this URL. http://t-genji546.at.webry.info/200901/article_9.html クリックしていただけると、誠に幸いです。↑ If you click these,I will be really happy please.↑ Genzaburo walked toward Taisuke and the robber without fear. "My uncle" Taisuke said in shaky voice. No one didn't imagine such a situation. Two men were killed beside Taisuke and he was wet by blood.Even Taisuke was caught and pointed a bloody sword. "Oi,say to your men,drop their swords or I kill this kid" Taisuke saw that Genzaburo had his sword. "Are'nt you listening?" Genzaburo stopped and charged his sword in Hiraseigan way of Tennnen rishinryu style.But Taisuke felt something strange. Behind Genzaburo they fought by swords so there were reflections of blades and sparks. But around Genzaburo,there was no such reflection. He had sowrd.Taisuke saw he had it. "I do kill the kid" The point of sword picked Taisuke's cheek. "My uncle" Taisuke said in a low voice and he shook. His heart beat had been getting fast and felt dry. Taisuke's heart had been getting darker than the darkness of the night. He had expected that his uncle would say "I will save you soon"or"I will do as you said so please don't kill my nephew" But actually Genzaburo didn't say these. "Taisuke,you said you are already samurai.So you should be so" Genzaburo wasn't afraid of the threat.Such reaction surprised not only Taisuke but also the robber. Genzaburo shouted and thrusted the robber's throat. Taisuke closed his eyes to prevent blood.But such a thing didn't happen. The robber and Taisuke fell down. The robber's arm was around Taisuke's neck.He unfastened it and looked up his uncle. Genzaburo's sword was covered with the sheath. "My uncle" Taisuke wasn't satisfied with Genzaburo's way. Genzaburp attacked without fear of threat but he didn't pull his sword out. He was saved but he was wonderred. "Oh,peel off the paint of sheath again" Genzaburo said so.Taisuke felt strange again. Later Taisuke asked about it,then Genzaburo answered with smiling. "I don't want to kill anyone" Genzaburo was a captain of Shinsengumi so that answer struck Taisuke.Since many members killed bad guys.It was their work. Until then Kondo and Hijikata said to Genzaburo to use his sword but he rarely used his sword to keep his belief. Actually Genzaburo killed someon only one time in Ikedaya incident. "You might feel strange but I don't use my martial arts to kill someone" Taisuke saw his uncle with strange eyes. Because martial arts should be used to kill someone. "I don't want to kill someone.It is my belief.I should use my sword to stop fighting" Genzaburo said so like a preach even so it was hard to understand Taisuke. Genzaburo might felt his nephew's mind,he smiled and patted his nephew's head. "You will understand my belief someday" ///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// 名前だけが出て来た池田屋事件ですが、以前、記事を書いています。こちらから、どうぞ。↓ Once I wrote an article about Ikedaya incident that you can read the name of it in this article. You can read it from the URL.↓ http://t-genji546.at.webry.info/200810/article_17.html この事件では新選組にも死傷者が出ましたが、中でも幹部クラスでも倒れたり、負傷した者がいました。 有名なところでは、沖田総司が結核の発作で血を吐いて倒れたと言われています。死闘の中、血を吐いて倒れるというイメージが定着しています。 倒れたのは事実ですが、結核の発作で喀血したかははっきりしないようです。 In this incident,some members of Shinsengumi were killed or injured even executives. You may know Okita Souji fell down by attack of tuberculosis.In the battle,he spited blood and fell down.Many people believe it.Actually he fell down but it was not clear that he spitted blood. 他にも永倉新八が親指の付け根を斬られ、藤堂平助もあまりの暑さに鉢金を脱いだ時に斬りかかられて、頭を割られました。 About other members,Nagakura Shinpachi was injuered on his thumb.Todo Heisuke was injuered on his head when he took off his head guard. |
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|---|
文武劣等の者 3 (The second-rate man 3)
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桃源児の桃源郷日乗 2009/01/15 07:47 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
刀を抜かずに相手を倒す。 |
たくたくろ URL 2009/01/15 02:15 |
『武という文字は戈を止めるが語源ぞ』 |
タヌ子 URL 2009/01/15 05:46 |
お早う御座います〜♪ |
ミモザ 2009/01/15 07:16 |
たくたくろさん、源三郎の不器用な格好良さ、泰助にもいつかわかる日が来るだろうと思います。 |
桃源児 2009/01/15 08:32 |
むやみやたらと刀を抜かないというのは |
久雄 2009/01/15 08:39 |
久雄さん、現代とは違い、刀を抜かねば、自分が斬られるという時代にこの信念、稀有な存在ですよね。 |
桃源児 2009/01/15 08:59 |
きゃあ〜源さん素敵 |
こりす 2009/01/15 09:00 |
戦いは嫌ですね。 |
ケロリーヌ 2009/01/15 09:09 |
剣術=人斬り と考えてしまいがちですが、そうではない所に奥の深さというか醍醐味を感じますね。 |
ミー太郎 URL 2009/01/15 10:15 |
なるほど〜 刀を鞘に収めたまま敵を倒しましたか! |
あさぎ URL 2009/01/15 10:48 |
源三郎さんが、かっこいいんですけど。 |
ブルー・ブルー 2009/01/15 12:11 |
本当の強さがそこにありますね。 |
ひー 2009/01/15 12:37 |
こんにちは |
スーパーサイドバック URL 2009/01/15 14:34 |
源三郎さん・・気に入ります! |
桧原 2009/01/15 16:50 |
こりすさん、源さん気に入っていただけてますか、ありがとうございます。 |
桃源児 2009/01/15 18:48 |
あさぎさん、源さんならこうするのではないかと考えてみました。共感していだたいて嬉しいです。 |
桃源児 2009/01/15 18:51 |
スーパーサイドバックさん、こんばんは。いつもありがとうございます。 |
桃源児 2009/01/15 18:54 |
源三郎は良い武士ですね。 |
K.TAKA 2009/01/15 19:40 |
おお〜、源さん、素敵。 |
YAGI節 URL 2009/01/15 19:49 |
先日、奈良本辰也「小説葉隠」を読みました。 |
あーさん URL 2009/01/15 21:32 |
鞘〜といえば |
維真尽(^^) URL 2009/01/15 22:14 |
桃源児さん、こんばんは☆ |
メアリー。 URL 2009/01/15 22:36 |
K.TAKAさん、武術は突き詰めれば、こういう思想に行き着くのではないかと思っています。源三郎はそれを信じていると思います。 |
桃源児 2009/01/16 00:02 |
維真尽さん、鞘はやはり腰に固定しなければならないので、滑らないようにしてあるんでしょうね。 |
桃源児 2009/01/16 00:05 |
今回の小説はリアル過ぎるのですが |
せいパパ URL 2009/01/16 00:56 |
せいパパさん、吸い込まれそうですか、嬉しいお言葉、ありがとうございます。 |
桃源児 2009/01/16 01:07 |
こんばんは。 |
ふしぎ男 URL 2009/01/16 01:43 |
ふしぎ男さん、こんばんは。 |
桃源児 2009/01/16 01:58 |
ヤタラと抜いて殺すのが能ではないのですね。 |
たそがれ 2009/01/16 06:50 |
たそがれさん、武術は突き詰めれば、やたらに殺すことにはならない方に向かうと思います。 |
桃源児 2009/01/16 08:08 |
戦いに明け暮れていたのですね。 |
クロゼット☆ライター 2009/01/16 14:58 |
クロゼット☆ライターさん、新選組と聞くと、人殺し集団のようなイメージがどうしてもあるかと思いますが、それだけではない人生もある筈と思い、この井上源三郎を書いています。 |
桃源児 2009/01/16 18:52 |
応援☆☆ |
ブルー・ブルー 2009/01/16 19:54 |
ブルー・ブルーさん、いつも応援、ありがとうございます。感謝しております。 |
桃源児 2009/01/16 20:00 |
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